道徳と、生き抜く術

自分の居場所はどこなんだろう、ある人の言葉を聞いて、いろいろなことが頭を巡りました。

居場所ってそもそもなんなのか。

必要としてほしい、いていいよって言ってほしい。そんな気持ちを、多くの人が抱えながら、生きているのかもしれません。

その人はきっととてもとても傷ついてきて、自分がここにいていいのだと信じることができないくらい、傷ついてきたのだと思いました。

 

この世界に、傷ついたことのない人はいないと思います。誰もがどこかに傷を抱えながら、日常と折り合いをつけて生きている。

私もその一人ですが、カウンセリングを受けていると、自分の中にはこんなにも傷ついた心が眠っていたのかと驚きます。遠い遠い過去の記憶。

 

ふと思いました。道徳って、生き抜くためには役に立たないなと。

生き抜くためには、すべての人を信じることはリスクだし、自分を守るために人を傷つけるしかないこともある。道徳が正しいと、もし一方的に教えているのであれば、それは、生き抜く術にもならないし、むしろ心の負担にすらなるかもしれない。正しいと言われている道徳に反する考えを持たざるを得ない人を追い込んでしまうかもしれない。

もしかすると、道徳教育は、道徳に反するような気持ちとどう付き合ったらいいのかを一緒に考えることが大切なのかもしれない、と思います。

 

居場所を探して泣いているあの人にほっとできる日がくることを心から願います。